糸偏(いとへん)に「澤」のさんずいを除いた部分(四と幸を縦に並べた形)を組み合わせると、「繹」という漢字になります。
論理学における「演繹」といった言葉で使われます。
今回は、漢字「繹」について学びましょう。
「繹」の読み方 音読み・訓読み
「繹」の音読みは「エキ」です。
また、「繹」の訓読みは「たず(ねる)」「つら(ねる)」「つら(なる)」です。
「繹」の意味
「繹」は、「引く」や「引き出す」という意味を持つ漢字です。特に、「糸を引き出す」とか「糸口を引き出す」という意味です。
また、「たずねる」といった意味もあります。
「繹ねる(たずねる)」とは、『漢検辞典』によると「物事のいわれを探りたずねる」とか「一つずつ引き出して吟味する」という意味だそうです。
さらに、「繹」には「つらねる」という意味もあります。
「演繹」とは 読み方と意味
「演繹」は「えんえき」と読みます。
「演繹」の意味は、「一つの事柄から他の事柄へ意味を押し広めて述べること」です。
ただ、現在では「命題(前提)から経験でなく論理に従って推論し、結論を導き出す思考法」という意味で使われることが多いですね。
この「演繹」という漢字のうち、「演」は「広める」という意味を持ち、「繹」は「糸を引き出す」という意味を持ちます。
「演繹法」や「演繹的推論」という風に使われることが多いですね。
また、「演繹法」の代表例としては、「三段論法」があります。
論理学において、「演繹」の対義語は「帰納」です。「帰納法」や「帰納的推論」と呼ばれることもあります。
論理学のテキストとしては、以下の本がお勧めです。
「演繹法」と「帰納法」の違い どっちがどっち?
「演繹法」と「帰納法」、呼び方は全く異なるのに、時々どっちがどっちなのか分からなくなってしまうことがありませんか(私はあります)。
「演繹法」と「帰納法」の違いを簡単に説明します。
「演繹法」の場合は、前提(つまり、「公理」とか「定理」みたいなもの)を見つけて、それを個々の事例に当てはめていくような形です。
これに対し、「帰納法」は、個々の事例から一般的に通用する法則(つまり「公理」や「定理」みたいなもの)を導き出すような形です。
それぞれの意味を理解するのは簡単なのですが、どっちの用語がどっちの意味を持つのか混乱してしまうことがあるんですよね…。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年