みなさんが毎日おいしく食べる料理に含まれているであろう「あぶら」。
食べすぎには注意しなければならないけれど、おいしい料理には欠かせないものだろう。
ところで、この「あぶら」を表す漢字には、主に3つある。
すなわちさんずい偏の「油」、にくづき(つきへんではない)の「脂」、そして「膏」である。
さて、これらの「あぶら」はどのように違うのだろうか。そして、どのように使い分ければいいのだろうか。
今回は、気になる「あぶら」の漢字の違いと使い分けについて紹介しよう。
「油」の意味と使い方
まず、さんずいに「由」と書く「油」について。
これは、「水」を表すさんずい偏がついていることからも分かるように、主に液体のあぶらを指す。
例えば、「野菜を油で炒める」とか「油をさす」などのように、基本的に「あぶら」を漢字で書く場合は、「油」を使う。
ただ、液体の油に必ずしも限るわけではなく、例えばバターなどは、通常は固形だが、溶けると液体になるということで、バターなども「油」を使う。
「脂」の意味と使い方
次は、「月(にくづき)」に「旨」と書く「脂」だ。間違われやすいが、月偏(つきへん)ではない。
こちらの「脂」は、肉体を表す「にくづき」を使うことからも分かるように、動物のあぶらを特に示す場合に使われることが多い。
だから、「脂の乗った肉」とか「肉の脂」という風に使われるわけだ。
なお、「脂」は個体や固形物に使う、という風に言われることもあるが、かならずしもそうではない。
「脂汗」とか「肉から脂がにじみ出る」というように、動物から出た脂であれば、液体状であっても「脂」を使うことがある。
また、「脂」は、動物に限るわけでもない。例えば「樹脂」のように、植物から取れるあぶらであっても「脂」の漢字が使われる場合がある。
おそらく、「樹木の体からにじみ出るあぶら」というニュアンスで「脂」という漢字が使われるようになったのではないだろうか。
「油」と「脂」を英語で何という?
「油」と「脂」は、日本語では同じ「あぶら」だが、実は英語では2つについて別の用語が使われる。
「油」については oil、「脂」については fat である。もちろん、明確にこの対応がどの場面でも通用するわけではないが、一般的にはこのように訳し分けられる。
この「脂」を意味する fat は、「脂肪」という意味であり、また形容詞になると「太っている」という意味にもなるのだ。
「膏」の意味と使い方
「あぶら」と読む漢字には、「油」と「脂」以外にももう一つあって、それが「膏」である。
これは「軟膏(なんこう)」などで使われる漢字だが、「脂」とほぼ同じような意味合いを持つ。
一般的には、「脂」という漢字が使われ、「膏」が使われる場面はあまりない。
ただ、「膏」には「あぶらぐすり」という意味がある。つまり、ベタベタした薬に「膏」が使われることが多いのだ。
だから、「軟膏」や「膏薬(こうやく)」という形で「膏」が使われるわけである。
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